題名の言葉は「星の王子さま」の超有名な一節です。
柄にもなく僕が好きな本の1冊でもあります。
「大切なことは、目に見えないからね」
実際にはなかなか口に出せないちょっとクサい言葉です。
でも好きなんですね。

文章自体はすごくシンプルで読みやすいですが
節目節目に読み返し、言葉の意味を考えると
その時々の気持ちに合った内容に読み取れる不思議な本です。

星の王子さまの登場人物に「バラ」があります。
バラというのは遠目には美しいものの、近づくとトゲがあります。
またその香りの良さは昔から好まれるものでした。

自然なバラの香りというのは本来1200~1500種類もの
違う種類の香り分子の組み合わせでできているそうなのですが
化学的には1種類の分子で作られることもあるとか。
また、合成された香りと自然なバラの香りを嗅ぎ比べすると
合成された香りに慣れた人は、それを本来のバラの香りだと
勘違いすることも多いそうです。

僕自身は天然物崇拝者というわけではないですし
合成物質や抽出物あるいは天然物でも
それぞれ良いものも悪いものもあるというスタンス。
香りや味に対しても「好き嫌いは人それぞれ」と思うので
勘違いしたからどうこうというのは全くありません。

ただ本来のバラの香り構成する1200~1500種類の成分の中には
おそらく一般的にはあまり好まれないような
「青臭さ」「ヤニ臭」みたいなのも微量に含まれると思いますが
清濁を併せ持ちつつ全体として「良い香り」として成り立っているのが
非常に面白く重要なんだろうなと思います。

香りと濃度というところでは
バニラの香りの主要な成分「バニリン」も面白いです。

本来バニラやクローブに含まれる成分として有名なのですが
ある日本人の研究者が「別の驚くべき物(注1)」からバニリンを抽出し
イグノーベル化学賞(注2)を受賞しているのです。

注1: 「別の驚くべき物」が何かを知りたい方は上のバニリンのリンク先「その他」の項を参照してください
注2: 僕はイグノーベル賞のようなスタンスや発想・考え方のようなものが大好きです

人の鼻がバニリンを感知しはじめる濃度が0.000000032ppmからという
ものすごく微量からだということを考えると、
「別の驚くべき物」からもバニラの甘く良い匂いを感じ取っていることは
ほぼ間違いないと考えられます。

また同系統の面白い香り成分に
スカトール」や「インドール」もありますが…
クサい文章を書くのは苦手なので今回は書かないでおきます。

と、いったように
目には見えない上、低濃度でも人が感知できるという「香り」がいかに大切か。

「家でも、星でも、砂漠でも、それを美しくしているのは、何か目に見えないものなんだね」
「本当に大切なものは、このなかに入っている目に見えない何かなんだ。」
「目で見ても、大切なものは見えないよ。ハートで見なくちゃ。」

といった、星の王子さまに書かれた様々な言葉は
今の僕にとって「香り」のことを示唆しているかのように思えました。

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これまでは学生時代の化学専攻はあまり役立てず、食と農を中心に仕事をしてきました。 Olvieのプロジェクトには九州外から参加。とは言え九州には縁があり10年ほど住んでいたことも。ほんと「九州はいいところだ!」って思います。

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